ドイツの若い大工2人が金沢を訪れた。世界を旅しながらマイスターを目指して修行する伝統的制度で来日、関東等の工務店を経た後日本各地を回っているという。
中世ドイツから続くこの制度は、2015年ユネスコの無形文化遺産に登録されている。現在では、放浪は職人の自由意志に基づき、数百人が伝統を継承しているとのこと。制度のルールはなかなか厳しい。
・「ゲツェル」の称号を持った職人で、30歳以下、未婚
・旅の期間は3年と1日、故郷から50km以内に戻ってはいけない
・一目で遍歴職人と分かるよう伝統的な作業着「クルフト」を着る
・木の杖を持って、それに荷物の入った袋を結び付ける
・パソコン、携帯電話などは持ってはいけない
など
私が修復の設計をした町家に、彼らを案内した。彼らの衣装は金沢では見たこともないものなので非常に目立ち、すれ違う人が皆振り返る。木の継手や仕口などを見せると、ドイツにも昔はあったが、今はこのような仕事はしないと言っていた。
厳しい制度を守り、世界各地で修行することにより、人間的にも、技術的にも大きく成長することだろう。
ドイツの伝統を受け継ぐ若手職人に拍手!